生涯学習論の経緯 |
「生涯にわたって学ぶ」という概念が国際社会において登場してきたのは、1960年代半ばと言われています。
1 世界(ユネスコ等)における生涯学習理念の流れ
年 月 | 主 な 事 項 |
1965年 (昭和40年) 1967年 (昭和42年) 1968年 (昭和43年) 1972年 (昭和47年) 1973年 (昭和48年) 1983年 (昭和58年) 1985年 (昭和60年) 1997年 (平成9年) |
ユネスコの成人教育推進国際委員会でポールラングランが「生涯教育」を提唱。 「教育は、児童期、青年期で停止するものではない。それは、人間が生きている かぎり続けられるべきものである。教育は、こういうやり方によって、個人なら びに社会の永続的な要求に応えなければならないのである。」 ユネスコ総会に於いて、この後の教育基本原理として「生涯教育」を採択。 ・ユネスコの「生涯教育」論では、「lifelong integrated education」という 用語が用いられる。 ・「統合(integrated)」には、「垂直的統合」と「水平的統合」の二つの方向が ある。両者を「統合する」という意味で生涯教育が構想された。 R.M.ハッチンス(シカゴ大学総長)が「学習社会」(learning society)を提唱。 人々は「かしこく」「立派に生きる」ことを求め、教育はそのために人々に援 助すべきである、そして「人間であり続ける方法は、学習を続けることである」 と主張。 元フランス首相フォールがユネスコ教育開発国際委員会に報告書提出。 「フォール報告書」(Learning to be) ・「learning to have」から「learning to be」への転換を提唱。 OECD(経済協力開発機構)が、リカレント教育論を提唱。 ・職業上の技能の向上のための教育へ回帰するという論。 M.ノールズがユネスコ教育研究所に「生涯学習コミュニティの創造」を提出。 ・強制される「教育」概念から主体的な「学習」概念へ。 ユネスコは、国際成人教育会議で「学習権宣言」を採択。 (学習の権利に関するパリ宣言) ・学習権とは、読み書きの権利であり、問い続け、深く考える権利であり、想像 し、創造する権利である。 ユネスコは第5回国際成人教育会議で、「成人の学習に関するハンブルグ宣言」を採択。 ・教育権と学習権は、読み書きの権利、教育機会にアクセスする権利である。 ・先住民の知識と学習システムを尊重しなければならない。 |
2 日本における生涯学習政策の変遷
年 月 | 主 な 事 項 |
昭和42年 (1967) |
ユネスコ日本代表波多野完治が『社会教育の新しい動向』で「生涯教育」を紹介。 ・「恒久教育」「永久教育」などの用語が用いられたが、次第に「生涯教育」に統一される。 |
昭和46年 4月30日 (1971) |
社会教育審議会答申「急激な社会の変化に対処する社会教育の在り方について」 ※生涯教育の観点に立つ教育体系の整備を説く。 ・今日の激しい変化に対処するためにも、また各人の個性や能力を最大限に啓発するためにも生涯にわたる学習の機会をできるだけ多く提供することが必要。 ・生涯教育という考え方は生涯にわたる学習の継続を要求するだけでなく、家庭教育、学校教育、社会教育の三者を有機的に統合することが必要。 ・あらゆる教育は生涯教育の観点から再検討を迫られている。 |
昭和46年 6月 (1971) |
中央教育審議会答申 「今後における学校教育の総合的な拡充整備のための基本的施策について」 ※生涯教育の観点から学校教育を見直すことを指摘。 ・今後の学校教育は、家庭・学校・社会と通ずる教育体系の整備によって、新しい時代を担う青少年の育成にとってのいっそう本質的な教育の課題に取り組ま なければならない。 |
昭和56年 6月11日 (1981) |
中央教育審議会答申「生涯教育について」 ※「生涯学習」という言葉を初めて使用。 ・今日、変化の激しい社会にあって、人々は、自己の充実・啓発や生活の向上のため、適切かつ豊かな学習の機会を求めている。これらの学習は、各人が自発 的意思に基づいて行うことを基本とするものであり、必要に応じ、自己に適した手段・方法は、これを自ら選んで、生涯を通じて行うものである。この意味では、これを生涯学習と呼ぶのがふさわしい。 ・この生涯学習のために、自ら学習する意欲と能力を養い、社会の様々な教育機能を相互の関連性を考慮しつつ総合的に整備・充実しようとするのが生涯教育の考え方である。言い換えれば、生涯教育とは、国民の一人一人が充実した人生を送ることを目指して生涯にわたって行う学習を助けるために、教育制度全体がその上に打ち立てられるべき基本的な理念である。 |
昭和59〜62年 (1984〜 1987) |
臨時教育審議会答申 ※来るべき社会を生涯学習社会と位置づけ、学習者の視点に立った生涯学習体系への移行を提言。 ※教育行政の改革の方向として「画一よりも多様、硬直よりも柔軟、集権よりも分権、統制よりも自由・自律を重んじる」ことを提言。 第1次答申 教育改革の基本的考え方 ・「個性重視の原則」「基礎基本の重視」「創造性・考える力・表現力の育成」 「選択の機会の拡大」「教育環境の人間化」「生涯学習体系への移行」「国際化への対応」「情報化への対応」を教育改革の基本的考え方と明示。 ・今次教育改革において最も重要なことは、これまでの我が国の根深い弊害である画一性、硬直性、閉鎖性を打破し、個人の尊厳、個性の尊重、自由・自律・自己責任の原則、すなわち『個性重視の原則』を確立することである。 第2次答申 学校は生涯学習機関と位置づける ・生涯にわたる学習機会の整備 ア 生涯学習の原点としての家庭の教育力の回復に努める。青少年教育の場としての地域の役割の重視。 イ 学校は生涯学習のための機関としての役割を担う。 基礎・基本の徹底、自己教育力の育成、教育の適時性への配慮を重視。 第3次答申 開かれた学校の推進 ・学校施設の開放という範囲を超えて、学校施設の社会教育事業等への開放、学校の管理・運営への地域・保護者の意見の反映等開かれた学校運営、他の教育施設との連携重視。 第4次答申 教育改革の視点 ・「個性重視の原則」 個性とは、個人の個性のみならず、家庭、学校、地域、企業、国家、文化、時代の個性をも意味する。 自らの個性を知り、それを育て、それを生かし、自己責任を貫くもののみが最もよく他者の個性を尊重し、生かすことが出来る。 ・「生涯学習体系への移行」 学歴偏重社会の弊害を是正するため、学校教育の自己完結的な考えから脱却し、人間の評価が学歴に偏っている状況を改め、どこで学んでも、いつ学んでも、その成果が適切に評価され、多元的に人間が評価されるよう、人々の意識を社会的に形成していくことが必要。 ・「変化への対応」 国際化・情報化社会への対応の必要性を説く。 |
昭和62年 10月 (1987) |
「教育改革に関する当面の具体化方策について−教育改革推進大綱−」閣議決定 ※生涯学習体制の整備や初等中等教育の改革など七つの項目に取りまとめる。 1) 国民の生涯にわたる多様な学習活動を振興するため、各種スポーツ活動や、職業能力開発も含んだ生涯にわたる学習の機会を総合的に整備するとともに、学歴偏重の弊害是正のため、生涯にわたる学習の成果が適正に評価される社会の形成に努めるなど生涯学習体制の整備を進める。 2) 道徳教育の充実等教育内容の改善や初任者研修制度の創設等教貝の資質向上を図るとともに、教科書検定制度を改革し、また、各般の教育条件の整備に努めるなど初等中等教育の改革を進める。 以下略 |
昭和62年 12月 (1987) |
教育課程審議会答申 「幼稚園、小学校、中学校及び高等学校の教育課程の基準の改善について」 ※自ら学ぶ意欲と社会の変化に主体的に対応できる能力の育成を提言。 |
昭和63年 7月 (1988) |
文部省「社会教育局」を「生涯学習局」に改組 |
平成元年3月 (1989) |
学習指導要領改訂 ・教育活動全体を通じて、児童生徒の発達段階や各教科等の特性に応じ、豊かな心を持ち、たくましく生きる人間の育成を図ること。 ・社会の変化に主体的に対応できる能力の育成や創造性の基礎を培うことを重視するとともに、自ら学ぶ意欲を高めるようにすること。 |
平成2年 1月30日 (1990) |
中央教育審議会答申「生涯学習の基盤整備について」 ・生涯学習における学校の役割としては、次の二つのことが重要である。 第一は、人々の生涯学習の基礎を培うことである。とりわけ小学校、中学校や幼稚園の段階で重要である。生涯学習の基礎を培うためには、基礎的・基本的な内容に精選するとともに自ら学ぶ意欲と態度を養うことが肝要である。 第二は、地域の人々に対して様々な学習機会を提供することである。 ・今後生涯学習を推進するに当たり特に次の点に留意する必要がある。 (1)生涯学習は、生活の向上、職業上の能力の向上や、自己の充実を目指し、各人が自発的意思に基づいて行うことを基本とするものであること。 (2)生涯学習は、必要に応じ、可能なかぎり自己に適した手段及び方法を自ら選びながら生涯を通じて行うものであること。 (3)生涯学習は、学校や社会の中で意図的、組織的な学習活動として行われるだけでなく、人々のスポーツ活動、文化活動、趣味、レクリエーション活動、ボランティア活動などの中でも行われるものであること。 |
平成2年 7月1日 (1990) |
「生涯学習の振興のための施策の推進体制等の整備に関する法律」施行 (目的) 第1条 この法律は、国民が生涯にわたって学習する機会があまねく求められている状況にかんがみ、生涯学習の振興に資するための都道府県の事業に関しその推進体制の整備その他の必要な事項を定め、及び特定の地区において生涯学習に係る機会の総合的な提供を促進するための措置について定めるとともに、生涯学習に係る重要事項等を調査審議する審議会を設置する等の措置を講ずることにより、生涯学習の振興のための施策の推進体制及び地域における生涯学習に係る機会の整備を図り、もって生涯学習の振興に寄与することを目的とする。 |
平成2年8月 | 生涯学習審議会発足 |
平成3年 4月19日 (1991) |
中央教育審議会答申「新しい時代に対応する教育の諸制度の改革について」 ※生涯学習における学校の役割を提言。 ※学校教育を生涯学習の一環としてとらえるとともに、生涯のいつでも自由に学ぶことができる生涯学習社会の構築を提言。 ・初等中等教育の段階―生涯にわたって学習を続けていくために必要な基礎的な能力や自ら学ぶ意欲や態度を育成する。 ・教育内容を精選して、基礎・基本の定着を図る。 ・新しい知識を学んだり発見したりすることの楽しさを体験させる。 |
平成4年 7月29日 (1992) |
生涯学習審議会答申「今後の社会の動向に対応した生涯学習の振興方策について」 ※生涯にわたって学習に取り組むべき四つの課題を明示。 ・リカレント教育の推進 ・ボランティア活動の支援・推進 ・青少年の学校外活動の充実 ・現代的課題に対する学習機会の充実 |
平成4年9月 | 学校週5日制スタート(第2土曜日が休日となる) |
平成7年4月 (1995) |
第2・第4土曜日が休日となる。 |
平成8年 4月24日 (1996) |
生涯学習審議会答申「地域における生涯学習機会の充実方策について」 ※地域社会の中で様々な学習機会を提供している機関や施設の生涯学習機能の充実を答申。 ※地域社会に根ざした小・中・高等学校」という観点から課題を整理し、「地域社会の教育力の活用」、「地域社会への貢献」を進めるため必要な施策を提言。 ・小・中・高等学校など初等中等教育の諸学校は、人間形成の基礎を培う場であるとともに、生涯学習の基礎を身に付ける場でもある。すなわち、自分で考え、判断し、行動する力を養い、生涯にわたって学習を続けるための意欲と能力を培う場である。また、子どもは地域社会の中で様々な教育的な影響を受けて育っており、学校がその機能を十分に発揮するためには、地域社会と良好な連携 ・協力関係を維持し、地域社会とともに発展するように努める必要がある。特に、学校週五日制が導入され、またいじめ問題への対応が課題となっている今日、学校と家庭や地域社会との連携の必要性はますます大きくなっている。さらに、学校の施設は地域住民の学習活動の場として活用され、それを通じて地域社会づくりや人々の連帯感をはぐくむことにも役立つものであり、地域社会への一 層の開放が求められる。 |
平成8年 7月19日 |
中央教育審議会「21世紀を展望した我が国の教育の在り方について 第一次答申」 学校の目指す教育としては、 (a)[生きる力]の育成を基本とし、知識を一方的に教え込むことになりがちであった教育から、子供たちが、自ら学び、自ら考える教育への転換を目指す。そして、知・徳・体のバランスのとれた教育を展開し、豊かな人間性とたくましい体をはぐくんでいく。 (b)生涯学習社会を見据えつつ、学校ですべての教育を完結するという考え方を採らずに、自ら学び、自ら考える力などの[生きる力]という生涯学習の基礎 的な資質の育成を重視する。 |
平成9年 6月26日 (1997) |
中央教育審議会「21世紀を展望した我が国の教育の在り方について 第二次答申」 ※一人一人の能力・適性に応じた教育と学校間の接続の改善を図る。 ・教育は、「自分さがしの旅」を扶ける営みと言える。 ・子どもたちは、教育を通じて、社会の中で生きていくための基礎・基本を身に付けるとともに、個性を見出し、自らにふさわしい生き方を選択していく。 ・子どもたちは、こうした一連の過程で、試行錯誤を経ながら様々な体験を積み重ね、自己実現を目指していくのであり、それを的確に支援することが、教育の最も重要な使命である。 ・このような教育本来の在り方からすれば、一人一人の個性をかけがえのないものとして尊重し、その伸長を図ることを、教育改革の基本的な考え方としていくべきである。 ・子どもたちが、主体的に生きていくための資質や能力を身に付けながら、自立した個を確立し、自己実現を図っていくことができるよう、教育の改革を進めていく必要がある。 ・子どもたちは、[ゆとり]の中で、様々な生活体験や自然体験、さらには社会体験やボランティア体験などの豊かな体験を積み重ね、様々な人々と交流して いく。 ・子どもたちは、机上で学んだ知識を生きたものとし、自ら学び、自ら考える力などの[生きる力]を身に付け、豊かな個性をはぐくんでいくのである。 ・教育においては、「時代の変化とともに変えていく必要があるもの」(流行)とともに、「時代を超えて価値のあるもの」(不易)があるということを忘れてはならない。 ・我が国においては、教育における平等を重視し、形式的な平等のみならず結果の平等までをも期待した結果、教育システムを画一的なものとして構築したり、これを硬直的に運用するという傾向を生じてしまった ・学(校)歴を偏重する社会の問題を背景に、過熱化する受験競争の中、入学者選抜については、単一の尺度である学力試験が偏重され、子どもたちの多様な個性や能力が十分評価されてこなかった。 ・「全員一斉かつ平等に」という発想を「それぞれの個性や能力に応じた内容、方法、仕組みを」という考え方に転換し、取組を進めていく必要がある。 ・教育システム全体の中になお存している画一性の是正に一層取り組んでいくことが急務となっており、各学校段階の取組を進めるだけではなく、学校間の接続の在り方について見直していくことが必要である。 |
平成10年 7月 (1998) |
教育課程審議会答申 「幼稚園、小学校、中学校、高等学校、盲学校、聾学校及び養護学校の教育課程の基準の改定について」 これからの学校教育においては、これまでの知識を一方的に教え込むことにな りがちであった教育から、自ら学び自ら考える教育へと、その基調の転換を図り、子どもたちの個性を生かしながら、学び方や問題解決などの能力の育成を重視するとともに、実生活との関連を図った体験的な学習や問題解決的な学習にじっくりとゆとりをもって取り組むことが重要である。 |
平成10年 9月17日 |
生涯学習審議会答申 「社会の変化に対応した今後の社会教育行政の在り方について」 〜自由で闊達な社会教育行政を展開するために〜 ・地域の特性に応じた住民参加型の社会教育行政の展開 ・生涯学習社会の構築に向けた社会教育行政の重要性 ・民間の諸活動との協調・連携 ・総合的なネットワーク型行政の構築 |
平成11年 6月9日 (1999) |
生涯学習審議会答申「生活体験・自然体験が日本の子どもの心をはぐくむ」 ・地域の子どもたちの体験機会の拡大 ・地域の子どもたちの遊び場の拡大 ・地域における子どもたちの体験活動などを支援する体制の構築 ・過度の学習塾通いをなくし子どもたちの「生きる力」をはぐくむ |
平成11年 6月9日 |
生涯学習審議会答申 「学習の成果を幅広く生かす〜生涯学習の成果を生かすための方策について〜」 ・学習の成果を生かすことの意義と場 ・個人のキャリア開発に生かす ・ボランティア活動に生かす ・地域社会の発展に生かす |
平成13年 7月11日 |
社会教育法一部改正 ※家庭及び地域の教育力の向上に努める。 ・家庭教育に関する学習機会の充実 ・ボランティア活動など社会奉仕体験活動、自然体験活動等体験活動の充実 ・社会教育主事の資格要件の緩和 ・社会教育委員及び公民館運営審議会の委員の委嘱範囲の拡大 ・国に及び地方公共団体の任務に関する規定の改正 |
平成14年 4月1日 (2002) |
学校完全週5日制実施 |
平成18年 12月12日 (2006) |
改正教育基本法成立 (生涯学習の理念) 第三条 国民一人一人が、自己の人格を磨き、豊かな人生を送ることができるよう、その生涯にわたって、あらゆる機会に、あらゆる場所において学習することができ、その成果を適切に生かすことのできる社会の実現が図られなければならない。 |
平成20年 1月 (2008) |
中央教育審議会答申 「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善について」 (1)学習指導要領改訂では、改正教育基本法等で示された教育の基本理念を踏まえるとともに、現在の子どもたちの課題への対応の視点から、以下のことがポイントであり、特に、Aを基盤としたB、D及びEが重要と考えた。 @「生きる力」という理念の共有 A基礎的・基本的な知識・技能の習得 B思考力・判断力・表現力等の育成 C確かな学力を確立するために必要な授業時数の確保 D学習意欲の向上や学習習慣の確立 E豊かな心や健やかな体の育成のための指導の充実 (2)「生きる力」という理念の共有 「生きる力」という目標を関係者で共有するに当たっては、特に、次の3点を重視。 第一は、変化が激しく、新しい未知の課題に試行錯誤しながらも対応することが求められる複雑で難しい時代を担う子どもたちにとって、将来の職業や生活を見通して、社会において自立的に生きるために必要とされる力が「生きる力」であるということである。 第二は、このような変化の激しい社会で自立的に生きる上で重要な能力であるものの、我が国の子どもたちにとって課題となっている思考力・判断力・表現力等をはぐくむためには、各教科において、基礎的・基本的な知識・技能をしっかりと習得させるとともに観察・実験やレポートの作成、論述といった知識・技能を活用する学習活動を行う必要があることである。 第三は、自分に自信がもてず、自らの将来や人間関係に不安を抱えているといった子どもたちの現状を踏まえると、コミュニケーションや感性・情緒、知 的活動の基盤である国語をはじめとした言語の能力の重視や体験活動の充実を図ることにより、子どもたちに、他者、社会、自然・環境とのかかわりの中で、これらと共に生きる自分への自信をもたせる必要があることである。 (3) 基礎的・基本的な知識・技能の習得 @社会の変化や科学技術の進展等に伴い、社会的な自立等の観点から子どもたちに指導することが必要な知識・技能、 A確実な習得を図る上で、学校や学年間等であえて反復(スパイラル)することが効果的な知識・技能、等に限って、内容事項として加えることが適当である。 (4) 思考力・判断力・表現力等の育成 |
平成20年 2月 |
中央教育審議会答申 「新しい時代を切り拓く生涯学習の振興方策について」 〜知の循環型社会の構築を目指して〜 ※平成18年12月の教育基本法改正による「生涯学習の理念」、「家庭教育」、「社会教育」「学校、家庭、地域住民等の相互の連携協力」等の規定の充実を踏まえた提言となっている。 (1)生涯学習の振興への要請−高まる必要性と重要性 ○総合的な「知」が求められる時代−社会の変化による要請 社会の変化に対応していくためには、自ら課題を見つけ考える力、柔軟な思考力、身に付けた知識や技能を活用して複雑な課題を解決する力及び他者との関係を築く力に加え、豊かな人間性等を含む総合的な「知」が必要。 (2)社会の変化や要請に対応するために必要な力 ○次代を担う子どもたちに必要な「生きる力」 子どもたちに必要とされる「生きる力」は学校教育のみならず、実社会における多様な体験等と相まって伸長していく。 子どもたちが学校の内外で、その発達段階に応じて「生きる力」を育むことができるような環境づくりが求められている。 ○成人に必要な変化の激しい時代を生き抜くために必要な力 成人も、変化の激しい社会を、自立した一人の人間として力強く生きていくための総合的な力を身に付けることができるよう、生涯にわたって学習を継続でき、その成果を適切に生かせる環境づくりが求められている。 (3)目指すべき施策の方向性 ○国民一人一人の生涯を通じた学習の支援−国民の「学ぶ意欲」を支える ・今後必要とされる力を身に付けるための学習機会の在り方の検討 ・多様な学習機会の提供及び再チャレンジが可能な環境の整備 ・学習成果の評価の社会的通用性の向上 ○社会全体の教育力の向上−学校・家庭・地域が連携するための仕組みづくり ・社会全体の教育力向上の必要性 ・地域社会全体での目標の共有化 ・連携・ネットワークと行政機能に着目した新たな行政の展開 (4)具体的方策 ○国民一人一人の生涯を通じた学習の支援−国民の「学ぶ意欲」を支える @今後必要とされる力を身に付けるための学習機会の在り方についての検討 A多様な学習機会の提供、再チャレンジが可能な環境の整備 B学習成果の評価の社会的通用性の向上 ○社会全体の教育力の向上−学校・家庭・地域が連携するための仕組みづくり ・身近な地域における家庭教育支援基盤の形成等 ・家庭教育を支援する人材の養成 ・学校を地域の拠点として社会全体で支援する取組の推進(学校支援地域本部、放課後子どもプラン) ・学校・家庭・地域を結ぶPTA活動の充実 ・地域の教育力向上のための社会教育施設の活用 ・大学等の高等教育機関と地域の連携 |
平成23年 1月31日 |
今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について |
平成23年 4月 |
小学校 新学習指導要領全面実施(中学校は24年から) ※新しい学習指導要領のポイント 子どもたちの生きる力をはぐくむ。 子どもたちの生きる力を育むために、学校・家庭・地域の連携協力を重視。 ・指導力・判断力・表現力をはぐくむ。 ・伝統や文化に関する教育を充実する。 ・道徳教育を充実する。 ・健やかな体を育てる。 ・理数の力を育む。 ・外国語教育を充実する。 ・体験活動を充実する。 ・社会の進展に対応した教育を行う。 |